Dr. Chloeのロサンゼルスに恋をして。第二章

歯科医師としてロサンゼルス滞在中。生活の中でポロリと出た独り言を呟きます。

口腔顔面痛ーなにそれ?編

こんにちは!

 

そろそろ…というかやっと??

私が一体何をしにLAにやってきたかを話す時がきました!

 

いや、決して、異文化体験しに来たわけではないのよ。ほんと。

ちゃんと目的あって海を渡ったんだから!!笑

 

 

まず、歯科医師という仕事は、街の歯医者さんんイメージが強いと思うので、歯医者さんは歯医者さんでしょ、って思う人も多いと思うのですが、実は、お医者さんが眼科、耳鼻科、神経科、産婦人科…などのように分かれているように、歯科医も専門があるんですね。

 

大学病院で治療を受けたことがある人はその区分の多さにびっくりしたこともあると思いますが、ざっくり、20個くらいは科を持っている大学病院が多いでしょう。

 

例えば

虫歯を治すのは「修復科」

歯周病を治すのは「歯周科」

根っこの治療をするのは「歯内療法科」

入れ歯や被せ物を作るのは「補綴科」(ホテツって読みます)

歯を抜いたり顎の骨を削ったりするのは「口腔外科」

その他にも、

「小児歯科」「矯正科」「放射線科」「インプラント科」「臨床検査科」「障害者歯科」「高齢者歯科」「病理科」

 

などがいわゆるどこの大学病院でもあるメジャーどころ、です。

 

 

で、私が今LAでやっているのは、「口腔顔面痛科」というちょっとマイナーな領域をやっています。

なにそれ、って感じですね。

簡単に言うと、歯、アゴなど顔の領域が痛いんだけど、原因が歯にない人、を対象にしている科です。

原因は歯にないけど、症状は歯に出ている、とかね。

 

わかりやすい例を挙げると、奥歯が痛くて歯医者さんに行って、なにもないって言われたんだけど、痛くて仕方なかった。実は原因は心臓にありました。心臓の治療を始めたら、歯の痛みが治りました。

 

歯が痛くて根っこの治療をしてもらって、神経抜いたのにそれでも治らず、耐えられないから歯を抜いてもらった。それでも痛みが消えないの。これはなに?!答えは、肩の筋肉が原因でした。とか。

 

そういう患者さんの診断、治療をする科です。

 

なので、基本的には、歯科治療は一通り済んで、もしくは歯科の審査は終わって、それでも痛いよー、という方々が集まってくる科なので、診療室のメインの道具に、歯を削るキーン!と音のする道具は置いてありません。

もうその段階は済んでいる、という前提なので。

 

(もちろんそれでも歯が原因、という可能性は捨てきれないので、診査はしますが)

 

 

そこから派生して、主に私のいるクリニックではざっくり分けて4つのタイプの患者さんが集まってきます。

 

1、神経痛、神経障害(によって口の中、歯が痛い人)

2、顎関節症

3、頭痛

4、睡眠時無呼吸症候群

 

慢性的な痛み、疲労を抱えている人がほとんどです。

歯科医師どうしで話をしても、よく

「でもさ、それって精神的なことからきてる患者さんが多いんでしょ?」

と聞かれます。

 

確かに、精神疾患を持っている患者さんはとても多いです。

そのため、初診時の問診票で、精神状態のチェックもするし、クリニックには心理学者も治療に来てくれています。

 

しかし、よくわかんない痛みを訴えているから、あの人ちょっと頭いっちゃってるんでしょ?治療って何?カウンセリング的な?

 

という質問に対しては、はっきり言わせてもらいます。

 

もちろんそのような方もいます。

でも、それはごく一部。

 

実際の鬱病のきっかけも慢性的な痛みが原因であることは非常に多いのです。

考えてみてください。

朝から晩まで痛みに悩まされていたら、そりゃー気分も下がりますわ。

 

なので、心理的なフォローはチームとして別のドクターにしてもらい、私たちは実際に痛みの方をケアしていきます。

 

 

さて、今日はイントロ。

今後、ゆっくりと1−4の項目やっていきたいと思いますー。

 

 

ちなみにこの分野の専門医の筆記試験が来月に控えていて、今日受験票を受け取った私はすでにガクブル。

4時間、200問の試験、アリゾナで受けてきます!!

試験問題読み終えるかな…

知識よりそっちが心配…

去年受けたネイティブに聞くと、だいたい残り時間15分くらいだったかな…という回答が。

ううう。

今回は筆記試験なので、筆記試験合格の次の年に、臨床推論をする(模擬患者さんみたいな設定で)口頭試問をクリアしないと専門医にはなれないので、まだまだ先は長いです。

ひよっこ、いや、まだ卵??の状態で、

時には患者さんに感謝の涙、時には怒りの涙、を頂戴しながら指導医のもと、直接担当患者さんを診療させてもらっています。(現在担当患者さんは40人くらいかな)

 

 

え?そういえば無免許診療じゃないかって?

うん、日本の歯科医師免許しか持ってないからね。

だから、UCLAの病院の中だけで診療許されてるんです。外の病院では働けません。

 

ん?給料もらってるの?って?

 

悲しいことに、無給です。なぜならばアメリカ歯科医師の資格がないから!

全く同じ仕事をしている同期たちは、アメリカ人歯科医師なので、レジデント(研修医)という立場なのに、日本の大手企業のサラリーマン以上の給料はもらってますよ…

 

こちら歯科医師の給料やたらいいので、同期たちはみんな研修医だからこんなもんで仕方ないよね…モードですが、日本の歯科医師が義務的にやらなければならない研修医の給料のざっくり5倍くらいに当たりますね。

そりゃあ、レジデントクリニックですら、私たちが「こんにちは」って言った瞬間、初診料300ドルチャージですからね…

恐ろしや…アメリカの医療制度。

 

無給の私も、同じくらい大学病院に診療してお金入れてるのになーしてるのになー…ぐすん。

でも、勉強させてもらっているので、文句は言いません。

いやなら、日本に帰るかアメリカの免許取れって話なので。

 

 

でーは皆さん、今日はこの辺で!

 

Have a wonderful day!!