Dr. Chloeのロサンゼルスに恋をして。第二章

歯科医師としてロサンゼルス滞在中。生活の中でポロリと出た独り言を呟きます。

歯医者さんが使うボトックス注射

こんにちは!

記事数が3桁になったことで調子に乗っている私です。笑

 

 

最近、毎日のようにインスタのフォロワーが謎に増えるのですが、誰がフォローしてくれているのかって、それは美容整形のクリニックの方達!

さすがビバリーヒルズですね。近所は美容整形のクリニックがたっくさんあります。

日本にいた時は、少し歩くと歯医者を見つけましたが、今は少し歩けば整形のクリニックを見つけます。

実際、普段すれ違う人や、患者さんでも、整形している人は多く見ます。なんでわかるのかって??

いや、多分、少し目を変えて見ました、鼻を変えて見ました、ってくらいじゃあ私は気付けるタイプではないのですが、気合の入った整形をする人が多いんですよね。明らかに!!って人が結構いるんです。

 

特に、週に一回働いている教授のクリニックは結構セレブもきます。女優、俳優さんなどもくるのですが、実年齢と肌年齢が全く合っていない違和感(ボトックス済み)、半端ないです。

いつまでも若くいたいな、っていうのは、誰にでも共通の望みですが、年齢とともに変わっていく見た目も魅力的なのにな、とも思います。

 

同期のレジデントも、40手前ですが、しわ予防にボトックス打っているそうです。たまーに、患者さんが使い切らなかったボトックスを捨ててしまうのももったいないので、同期と練習に使うのですが、(ボトックスを使わなくても、最初は生理食塩水で練習します)大体、一番年下の私には回ってきません。スタッフも交え、誰が患者役をするか、みなさん取り合いです。笑

 

 

ボトックス、実は口腔顔面痛のクリニックでは結構使うんですよ。

美容のためではないです。

医療行為としてのボトックスです。

 

さあ、2記事連続で歯医者さんやってますよ、記事書いてますからね、今まで本当に遊びにきてると思ってた方達にも実はちゃんとお勉強している、ってそろそろ気付いてもらえるとありがたいんですけどね。笑

 

 

さて、口腔顔面痛クリニックで使うボトックス、一体なんのために使うの??

ボトックスってシワ取りのためのものでしょ??

 

と思っている人も多いでしょう。

 

私たちがクリニックで普段使っているボトックス治療は主に2つの理由があります。

(一般の方向けの説明なので、専門の方が読むと表現がおかしいと感じたらごめんなさい。)

 

 

 

 1神経障害性疼痛の治療

神経障害性疼痛(痛みの原因は治ったはずなのに、痛い感覚がずっと続く)の治療には、いくつかバリエーションがあります。局所的な軟膏を塗る治療、低用量の抗うつ薬や抗痙攣薬を飲む治療、蝶口蓋神経節や星状神経節と呼ばれる神経の集まった部分に麻酔をする治療、そしてボトックス。

ボトックスを打つことで、神経伝達物質が通過すべきルートを塞がれてしまいます。青信号であったはずのルートがボトックスによって赤信号になることで、神経伝達物質がストップされ、痛みを感じるルートが遮断されるんですね。

 

 

2慢性偏頭痛の治療

神経伝達物質は、筋肉の収縮にも必要な物質です。ボトックスを少量ずつ、ものすっごく細い針を使って、おでこ、頭の横、後ろなど頭の筋肉がある場所に31箇所に分けて打っていきます(病院によって違います)。こちらも、痛みの神経伝達物質をブロックすることが目的です。

 

 

 

え、歯医者さんが頭痛の治療するの?と思いますよね。UCLAの口腔顔面痛はやっています。アメリカの他の口腔顔面痛クリニックでは、やっているところと、やっていないところがあります。しかし、口腔顔面痛専門医の筆記試験はかなりの割合で頭痛の知識が必要でした。

 

基本的にはUCLAでは、primary headacheと呼ばれる、頭痛の原因が、体の他の部分ではないものを扱っています。(他の病気が原因で頭痛を起こすものはsecondary headacheと呼ばれます)

 

簡単にいうと、12個ある脳神経のうちの一つ、三叉神経と呼ばれる神経は三つに分かれて、目の周り、上顎、下顎の感覚を司ります。歯が痛い、と感じるのはこの三叉神経が感じ取っているんですね。

この歯の痛みを感じる三叉神経、根っこの方にずーっといくと、頭痛を感じる原因になる神経と繋がっているんです。

簡単に説明しすぎて色々語弊を生じそうな表現かな…という感じもするので、またの機会にじっくり記事にするので読み流してください。

 

 

また、顎関節の痛みに対してボトックスを打つ治療もあるようですが、それはUCLAではやっていません。しかし、日本でもそれについて研究している先生がたもいますし、カリフォルニアには、顎関節のボトックス注射のための勉強会を開いている先生たちもいるようです。

 

しかし、ボトックス、日本ではかなり限られた使い方をされているような気がします。頭痛に対する治療に使うのは、歯医者さんどころじか、お医者さんでも扱っている人は私の知っている限りでは一人だけです。(オープンでやっているのは)

なので、日本に帰った時にどれくらい今学んでいることをそのまま扱えるのかなあ…とちょっと不安はあります。

でも、もちろん全ての治療は万能ではないので、全ての患者さんに絶対聞く!という治療はありません。しかし、ボトックスで恩恵を受けている患者さんをたくさん見ているので、選択肢の一つとして日本の患者さんたちに提供してあげられたら、私がわざわざアメリカで学んだ甲斐があった、と言えると思うのですが…まあ、その辺は帰国したら考えることとして、今は目の前の修行に集中しましょう。

 

 

そしてボトックス、効果は3ヶ月ほどです。なので、効果を持続させるには繰り返し行う必要があります。特に頭痛の患者さんでは3ヶ月おきにボトックスの予約をとっている人が多いです。

 

 

 

うーん、帰国するまでにもっと上手に患者さん対象に説明できるようにならなくちゃな。実際、全く知らなかったことを1から、いや、ゼロから英語で学んでいるので、日本語で説明するのって難しいんです。

まず、日本語の専門用語がわからん。患者さん対象に専門用語をたくさん使う必要はなくても、さすがに日本語しらなかったらちょっとバツが悪いですね。ぼちぼち日本語も勉強していかないと…と思っています。

(なに言ってんのこいつ、と思うかもしれませんが、これ結構専門的な分野を英語で学んでいる人がよくぶつかる壁です)

 

患者さんと問診中。

初診時は問診、検査だけで1時間近くとります。

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でーはみなさん、

Have a wonderful day!!