Dr. Chloeのロサンゼルスに恋をして。第二章

歯科医師としてロサンゼルス滞在中。生活の中でポロリと出た独り言を呟きます。

いびき…止まった!それは死ぬ病気の症状かも?!ー睡眠時無呼吸症候群ー

こんにちは

 

今日は睡眠について。

私のいるクリニックは口腔顔面痛だけじゃなくて、睡眠外来もやってます。睡眠時無呼吸症候群の人のための口腔内装置を作る、という役割です。

 

睡眠時無呼吸症候群、以前山陽新幹線での事故で名前が知れ渡りましたね。

 

2003年2月  山陽新幹線事故
自動列車制御装置が作動し、岡山駅ホームの途中で自動停車したため、
大事故にはつながりませんでしたが、運転手は車掌に起こされるまで熟睡し、その後の検査で睡眠時無呼吸症候群と診断。


2003年10月  名古屋鉄道事故 
名古屋鉄道新岐阜駅(現名鉄岐阜駅)で、急行列車が車止めに衝突、脱線して乗客4人が負傷。

運転手は、その後の検査で中等度の睡眠時無呼吸症候群と診断されました。3月に会社がおこなったアンケートでは、眠気などの自覚症状は全くなし。

 

 

その他にも
2004年3月  羽田発山口宇部行きの全日空機事故

2005年7月  山口県沖貨物船衝突事故

2005年11月  滋賀県名神高速道路事故

2009年10月  熊本県遊漁船事故

などが事件の前後に睡眠時無呼吸症候群と診断された運転手の居眠りによる事故です。

中には死者も出ている事件もあります。

 

 

さて、睡眠時無呼吸症候群って一体なんぞや、ってことなのですが、寝ている間に呼吸が止まってしまうのです。

 

一緒に寝ている人のいびきがうるさいな、と思ったら次の瞬間、ぴたっといびきが止まり、また少しするといびきをかきはじめる、という光景を見たことがある人は多いと思います。

 

これは、いびきが止まっているのではなく、呼吸が止まっているのです。

 

これが、閉塞性睡眠時無呼吸症候群。いびきは呼吸をする道が妨害されている証拠です。

私が治療に携わるのはこの閉塞性のもの。(中枢性の無呼吸症候群は口腔装置だけでは治療できません。閉塞性と中枢性ミックスの場合は対象になることもありますが)

 

 

さて、居眠りでの仕事は危険ですね。というだけで済まされる訳ではないのがこの病気。以下のリンク、国立循環器研究センターのサイトがとってもわかりやすく説明しています。

www.ncvc.go.jp

 

このサイトからかいつまんで説明したいと思います。

まず知って置いてほしいこと。

 

これは、死に至る可能性のある病気、だということ。

以下をみてください。

睡眠時無呼吸症候群の方は心臓に負担がかかりやすいんです。

 

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呼吸が止まる、酸素の供給が寝ている間に何度もストップする、という事実が、体に悪影響を与えないわけがありませんね。

酸素の供給をする役割の血液を送ろうと、心臓が無理に頑張ってしまう結果がこの上の表のようになってしまうのです。

 

そこで、治療をしなければなりませんね。

まず、一般的なのがこの機械。CPAPと呼ばれるものです。

 

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こんな感じ。

機械で圧力をかけた空気を鼻から気道(空気の通り道)に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法です。

おっきいですね。

持ち運び不便ですね。

そしてセクシーじゃないですね。

何より、結構つけて寝るのが辛くて全然眠れない!

っていう人もいるんです。

 

そんな人のために、私たち歯科医師の出番です。

これ!これは一つの例でいろんなタイプがあります。

 

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これなら、旅行や出張に行く時もポケットに入れて持っていけますね。

 

ただ、これは軽度から中度の睡眠時無呼吸症候群の人のみ対象。

この上下の装置で下顎を前に出したポジションで眠ることで気道を広げ舌が呼吸を邪魔することを防ぎます。

 

重度の人のうち、どうしてもCPAPが辛くて使えない、という人は、この装置をつけることで、CPAPの圧力を下げて少し不快度を減らして眠ることができます。併用するっていうことですね。

 

なかなか日本ではあまりメジャーになって来ないこの口腔装置。

やっている先生はいるんですけど、アメリカに比べるとかなり少ないです。

 

先日、ソムノメッドというこの装置を作るラボの営業さんと話しました。

日本ではなんであんまり発展してないんですかね、と。

彼曰く(彼はアメリカの営業担当)、日本は支店を持っている中で最も難しい市場。

何故ならば、なかなかお医者さんが歯医者さんの方に回したくないようで。

(CPAP、結構お医者さんにとっていいお金になるんですよ…)

 

って言っても、心疾患が絡むならお医者さんに任せた方が安心でしょ!

と思いますよね。

基本的には、アメリカではこの口腔内装置、お医者さんからの依頼がないと、歯医者さんは勝手に作れないことになっています。歯医者さんがした検査も全て毎回お医者さんに結果を送ることが義務付けられていますし、連携体制は整っていますので、心配はありません。

 

CPAPから始め、口腔内装置を使い始めた患者さんはみんな口を揃えてこっちの方が全然いい!!と言います。

なんで最初にお医者さんは俺にCPAPを勧めたんだ!!と。

(あくまでも、ベストはCPAPなんですよ。確実性は高いです)

 

ただ、この楽な方法で同じ結果が得られる可能性があるならば、トライする選択肢として、もっと日本の患者さんに認識してもらえたらいいのになーと思っています。

 

将来は日本で開業予定なので、睡眠に困ったら私のところに来てください♫

 

 

でー、皆さん、

Have a great day!!