顎関節症ー口腔顔面痛シリーズ
こんにちは〜!
試験も終わったということで、前にイントロだけやった、私は一体何をしに海を渡ったのか、シリーズの続きいきたいと思います!
噂の(?)イントロは、こちらから。
1、神経痛、神経障害(によって口の中、歯が痛い人)
2、顎関節症
3、頭痛
4、睡眠時無呼吸症候群
のうち、今日は2の顎関節症から。
え、1からじゃあないんだ。うん、有名どころから行こうかと思って。
顎関節症って言葉、聞いたことある人いるでしょ??
そう、で、「顎関節症」といっても色々と種類があるんですが、一個ずつ説明してもつまらないと思うので、一般の方によく質問を受けることを開設しようと思います。
- アゴがカクッて音がするんです。
- 口を開けるとアゴが痛い
- 口が開かない・閉まらない
- 朝起きるとアゴが痛い、頭も痛い
1.顎がカクッて音がするんです。
口を大きく開ける時、顎からカクッ、ポキッ、という音がするということがありませんか??中には、音が大きすぎて人と食事をするのが恥ずかしい、という方もいます。
音がするこれ大丈夫!?といって来院する方が結構いるのですが、結論からいうと、この「音」自体は問題無いです。
私たちには、両耳の横には、下アゴの骨の先端があります。そしてその上の骨に乗っている関節円板と言われる軟骨があります。
それらは、私たちが大きく口を開ける時に、一緒に前方に動きます。これが通常の状態。このとき、関節円板が下アゴの上ではなく、前方にある位置からスタートし、口を開ける途中で下アゴの上に戻るとき、戻った瞬間の音が、このカクッという音なんですね。
これは、この音がなる時に、痛みを伴うものでなければ基本的には問題ありませんので、気にしないでオッケーです。
音と一緒に、痛みがあるようならば、アゴを前に出すような特殊なナイトガードを使って痛みを減らす方法をとるので、歯医者さんに聞いてみましょう。
ちなみに、音を減らす方法は基本的にありません(口を開ける早い段階での音がなる人の音を減らす方法はないわけではないですが…)。過剰に気にしないようにしましょう。
また、なんかジャリジャリって感じの音がする、という方は、顎関節の関節炎の可能性があります。年配の方に多いですね。関節炎で膝が痛くなる人がいますが、それと同じような現象です。
診断はCTで行います。歯医者さんが使うCBCT(コーンビームCT)というものは、少ないエックス線で、アゴのみを写すCTです。炎症、痛みを伴う場合はアゴに抗炎症薬を注射したり、PRPといって、自分の血液の一部をアゴに注射することで体に炎症を治させる方法などがあります。
2.口を開けるとアゴが痛い
1の音と一緒にアゴが痛む、の他に、音はしないけど、もしくは音はするけどそれに伴う痛みじゃなくて、とにかくなんか痛い。ということがあります。耳の前からほっぺにかけて、さらには頭の横の方にかけて痛みがあったりします。
原因はひとつでは無いので、もちろん検査が必要ですが、多くの人が、「慢性的な筋肉痛」であることが多いです。
ものを噛む筋肉はほっぺの横と頭の横についています。(咬筋(浅層・深層)、内側翼突筋、外側翼突筋、側頭筋の4つが咬む筋肉です)
これらが寝ている時のくいしばりやハギシリ、または日中のくいしばりで筋肉が疲れたー!!と悲鳴をあげると、痛みが出るんですね。
日中の食いしばりなんてしてないし、という方がほとんど、実は気づいていないだけで、食いしばっています。
筋肉を疲れさせるには、強い力で食いしばる必要はないのです。
上下の歯がわずかに当たっているだけで、筋肉は働かされてしまいます。
小さな力の積み重ね、これがオーバーロードを起こすのです。
上下の歯は、リラックス時には当たっていないことが普通であることにすら気づかない人はたくさんいます。特に何かに集中している時、例えば運転している時、テレビを見ている時、PCを見ている時、スマホをいじっている時…今はどうですか??
歯が当たっている人は要注意です。
顎が痛くなる人予備軍ですので、今すぐやめましょう。
筋肉由来のアゴの痛みのケアは、ストレッチです。
ストレッチは、基本的には口を大きく開けることで、筋肉が伸ばされます。
症状や開口量、顎関節の炎症の程度(筋肉だけでなく、関節の炎症も一緒に伴っている場合もあります)によって異なるストレッチを推奨します。また、筋肉由来に見えて、実は靱帯が痛みの原因である場合は、逆にストレッチはせずに、安静にする必要があるので、自分でストレッチを開始せずに、診断を受けた方がいいでしょう。
一つ要注意なのは、噛み始めると速攻で痛みが出て、咬むのをやめると速攻で痛みが止まる(通常は噛むのをやめても鈍い痛みが少し続きます)、という方は、巨細胞動脈炎という、視力を失う病気の可能性もあるので、なるべく早く病院に行きましょう。この病気は50歳以上の男性に多いです。血液検査、細胞診などで診断します。この症状があり、なんか体重減ったな、最近目が霞むな、と行った症状がある方は要注意です。
3.口が開かない・閉まらない
これは、どうして開かないのか、という原因が様々です。2の理由で筋肉が硬くなってしまって、痛くて開かないのか、カクっという音の後にアゴが固まってしまって開かない、もしくは閉じなくなってしまったのか。
筋肉が硬くて口が開かない場合は、咬む筋肉をストレッチする必要があります。痛いから無理!と思うかもしれませんが、伸ばさないことにはあきません。冷たいスプレーを使って、筋肉を冷やし、脳を一瞬だまして、痛みを感じにくくしている間にストレッチさせる方法をとったり、逆に筋肉を温めて、緩めてストレッチさせたりすることもあります。
大きな口を開けた後に、口が閉じなくなってしまった場合、びっくりして慌てると思いますが、大丈夫、一生口が閉じなくなることや、大きな手術になることはまずありません。
深呼吸して、顎を左右に動かしてみましょう。またカクっという音と共に戻ることがあります。救急に行って、待合室で待っている間に、自然と戻った、という方もよくいます。
自分で戻せなかったら、落ち着いて歯医者さんに行きましょう。救急外来に行く必要はありませんので大丈夫です。
4.朝起きるとアゴが痛い、頭も痛い
朝に特に痛みが強い人は、睡眠中にはぎしり、食いしばりをしている可能性が高いです。自分の口の中を見てみましょう。
歯が削れていませんか?(これは過去のハギシリの可能性もあります。一度削れた歯は戻りませんからね)また、べろの横側がなみなみの形になっていたり、ほっぺの内側に白い線が横に走っていたら、現在歯軋りをしているサインです。
夜間の歯軋りは止めることは難しいのですが、しっかりと噛み合わせを調整されたナイトガードを装着することによって、噛み締めた時の力の再分配ができ(左右同じくらいの噛み締めにする)、筋肉の負担を減らすことができます。
また、この寝ている時の噛み締めの力は、自分を簡単に持ち上げてしまう以上の力が働くことも珍しくないのです。よって、硬いはずの歯も、割れてしまったりするんですね。それを防ぐための役割もナイトガードが果たしてくれますので、歯軋りしてる気がする…という方は歯医者さんにいって相談しましょう。
また、インプラントを入れている人も、インプラント長持ちのためにナイトガードをお勧めします。
硬いプラスチックでできていて、平らな表面をしている、そして歯医者さんが噛み合わせを調整したものでないと、症状を悪化させてしまう可能性もあるので気をつけてください。
頭も痛い、という方、噛む筋肉と首、肩、頭の筋肉はとても近くにあり、連動しています。また、噛む筋肉の一つ、側頭筋という筋肉は頭の横についています。なので、歯軋りによって、この筋肉が疲れると、頭が痛くかんじるのですね。
この頭痛は、「緊張型頭痛」と呼ばれます。ずっと頭痛持ちだと思っていたのに、歯軋りや、噛む筋肉の緊張をほぐしたら、頭痛いのなくなった!
と感動して帰っていく患者さんも多くいます。
また、朝起きた後少しの間だけなんか頭痛いんだよね…と感じる方は、睡眠時無呼吸症候群による酸素不足の可能性もありますので、これはまた別の会にお話しします。
あー、今日は長かったな。
なるべく一般の方にわかりやすく、簡潔に、書いたつもりなのですが…
どうだろう、少しでも伝わったかしらん??
現在、私はフォニックスの空港で飛行機に乗ったまま、3時間スタックしてます。どうやらLAは風が強すぎて向こうに着陸できなそうだからとかなんとかいう理由。ああ、最近飛行機付いてないなあ。
今年に入って、空港スタック4回目。同期たちに、お前がいるから飛行機が遅れたんだー!
と言われる始末です。笑
あーあ。もうとっくに家についている予定の時間なのになあ…
さーて、皆さん
Have a great day!!