Dr. Chloeのロサンゼルスに恋をして。第二章

歯科医師としてロサンゼルス滞在中。生活の中でポロリと出た独り言を呟きます。

根っこの治療って一体何してるの?なんで何度も通うの?

こんにちは!

 

歯医者さんで根っこの治療、したことありますか??

虫歯が大きくなってしまって、根っこの治療が必要ですね、と言われた、またはもう根っこが死んでいるので中を治療しましょうと言われた。

 

死んでるってどーゆーこっちゃねーん!!!

と思ったことありませんか??

 

感染根管治療

根っこの治療が必要な際は根っこが死んでしまっている場合とまだ生きている場合で少し事情が変わってくるのですが、今日は根っこが死んでしまっている場合のことについてお話してみようかと。

いわゆる感染根管治療、と呼ばれるものです。

 

歯医者さんモード!シャキーン!!

 

 

まず、根っこが死んでしまっているというのは、歯の中に入っている神経が壊死してしまっていることを言います。

神経が壊死しているので、歯自体に痛みは感じません。

じゃあ別に放っておいたっていいじゃーん!と思いますよね。

しかし、壊死した原因は最近感染。

最近まみれの壊死した組織はまだそこに残っているんです。

 

全ての歯は骨に埋まっています。口を開けると柔らかい歯茎に歯が埋まっているように見えますが、歯茎の下は骨です。

 

感染組織は骨も感染させます。

そして根っこの先端で骨を溶かしていくんですね。

これが慢性化している場合は噛んだ時になんだか鈍痛がするな…という感じ。

何かの拍子に免疫力が弱って急性化することもあります。そうするともう眠れないほど痛くなることも。

ということで、根っこの治療とは簡単にいうとその細菌のお掃除です。

根管治療経験者は、なんか細長い針みたいなのでガリガリやられた…ことを覚えているでしょう。

 

その道具は、実はこんなものだったのです。

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ただの針じゃなくて、周りにギザギザがついていて、根っこの中を削れるようになっています。

根っこの中に差し込んで感染している部位をガリガリ削っていきます。f:id:azu-ryugaku:20171106152342j:plain

 

歯医者さんがなんどもこの道具を交換しているのは、このギザギザ部分の形が何種類かあるためと、小さいサイズからどんどん大きい直径のものに変えていくためです。

感染している部位を取りながら、根っこの管を大きくして、最終的に根っこの代わりになる材料を詰めやすくする形を整えているんですね。

 

最終的なもの、ってなんじゃい。神経の代わりになるものなんてあるの?

という質問なのですが、これはガッターパーチャと呼ばれる樹脂です。

もちろん、神経の代わりの役割は果たしません。

これは根っこの中をただの空洞にしておくとまた感染してしまうので、樹脂で密閉することで感染経路を塞ぐんですね。

 

一度死んでしまった歯の中の神経は基本的には二度と戻りません。(一部だけ感染してしまった場合にそれを再生させつ方法をとる九死に一生スペシャルの治療もありますが…)

ので、その歯自体が神経を持っていた時のように戻ることはないでしょう。

というのは、神経、血管からの栄養供給がなくなってしまった、ということになるので、木から落ちた枯れ木状態なんですね。新しい水分、栄養を大木からもらえない、踏んでみると乾いた音とともに簡単に割れてしまう状態です。

そのため、神経があった時と比べると歯自体が弱くなってしまっています。

寝ている間の歯ぎしりなんかで歯が割れてしまうこともあるでしょう、というリスクは知っておかなくてはなりません。

 

 

なんでこんなに通わなくちゃいけないの?日本だけってほんと??

なんで根っこの治療って時間かかるの?

なんで何度も通わなくちゃいけないの?

という疑問、よく聞かれます。

日本でこれを聞かれると、いつもこう答えていました。

「根管治療は根っこの中をお掃除する治療です。なので、根っこの中を綺麗にして、細菌をやっつけても、根っこの外の骨の組織を治すのは患者さんの免疫力です。今日お掃除したから明日治るわけではないんですよ。完治するまでに少し時間がかかるので、何度か中のお薬を変えながら様子を見ていきましょうね。」

 

と。これは何も間違ったことは言っていませんし、納得しますよね。

 

しかし!!

アメリカの根管治療の専門医の治療は何度も何度も通わないじゃないか!!!

という事実を知っている人はそんなの嘘だ!!と思うかもしれません。

一体何が違うのか。

もちろん専門医なので技術や設備は違うかもしれませんね。

しかし、それより何より違うのは…

 

コストと時間、だと思います。

どういうことかというと、アメリカの専門医の根管治療は1根管約10万円。

例えば、上の奥歯が虫歯になると、一つの歯に3−4つの根管があるのでそれだけで30−40万円です。うひゃー。

なので、一人の患者さんに何時間でもかけます。何時間かけても元取れますからね。

なので、一回、もしくは二回の治療で完全に綺麗にし、最後も材料まで詰めちゃって、あとは蓋して治るのを待つ、という手法です。

 

一方日本では…

基本的に患者さんが払う金額は…数百円という単位。(実際は歯のクリーニングなんかを少しずつ一緒にやっていったりすることもあるのでお会計での値段は変わってきますが)

数百円のために何時間もかけられません。歯医者だって今日の夕飯を家族に食べさせる心配しなくちゃいけませんからね。

なので、医院によって根管治療、特に根っこの中のお薬交換だけ、の場合は15分程度のアポイントで何度かきてもらって治っていくのを待ちながら…という手法をとる場合があるのです。

何度かきてもらって…というのはお金儲けじゃありません。

例え15分だったとしても、そんな数百円のためにアポイント入れて、数限りある椅子を埋めてしまうのは損失でしかないです。

待つ理由は、一度最終的な材料を詰めて被せ物をしてしまうと、また根っこの治療をするのが少し大変になるので、しっかり治ったことを確認してから次の作業(被せ物)に移りたいんですね。

 

根っこの治療は奥が深く、いろいろ歯医者さんによって言い分は違うと思いますが、私の言葉でわかりやすく説明させて(え?分かりやすくないって?)もらうとこんな感じです。

 

ふう。

 

でーは今日はこの辺で。

Have a wonderful day!!